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音楽好きな自営業者でトランペッター。いつでもトランペットが吹けるように防音室をDIYしました。

誰かの犠牲があって成り立っている

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20数年前、自動車用品を取り扱う商社にサラリーマンとして勤めていました。

取引先は大小のカーショップを中心にタイヤメーカー販社や地方の卸問屋です。私がいました部署は営業課でしたので、カーショップへの販売営業が主な業務になります。福岡県内の筑後(久留米、柳川、大川、大牟田熊本県と鹿児島県全域を担当していました。

業務内容は新商品の案内や既存商品の売り込みになるのですが、量販店では自社取扱商品を大量にスチールラック棚に飾ってもらい補充やラック商品を増やしてもらう営業をかけていました。

小規模なカーショップに比べると大手量販店は売上貢献率が高かったので、量販店に比重を置いた営業をしていました。

量販店サイドから無理難題をよく言われていました。会社休日に販売応援という名目で休日出勤して店舗に立ち接客させられたり、営業時間後から深夜まで店内改装を強制的にさせられたりしていました。

そして売れなかった在庫商品の返品という「新しい商品を入れるから売れなかった商品を返すけど良いよね?」という行為が当たり前のようにあっていました。また違う業者にラックを変えるから、ラックに飾ってある全商品の返品を迫ってくる店も少なくありませんでした。これでは商品を貸し出して委託販売しているのと一緒です。

返品を断ろうものなら先方担当者から「もうそちらとは取引しない」と言われるのがオチです。ですので言うことを渋々聞いて条件を飲むしかないのです。「会社にはどうにかしろ」と言われるけどどうしようも無い。でもそれは会社も分かっていること。

当時はコンプライアンスもいい加減でしたので本当に大変な時代でした。

 

この頃の話をするのは、先日報道番組で衣類品ロスを取り上げていたから

メーカーの発注で製造して納めた新品衣類を売れなかったために、製造業者や卸に返品する。押し返された衣類はブランドイメージを下げてしまうために価格を下げての転売さえ許してもらえないので焼却処分している衣類が数万トンとあるそうです。

「売れななかったから返す」数量こそ違いますがこれは私が過去に経験した量販店カーショップと同じやり方です。この令和の時代に。

そこには痛み分けなどは無く、企業倫理も無いのでしょう。それによってもし下請けが廃業したとしても他に請け負ってくれる業者は多いのだから関係ないことなのでしょう。

しかし大手メーカーが中小製造業に対してモラルなき発注や返品を繰り返さなければ利益を出すことができないという構図「誰かの犠牲があって成り立っている」はそもそもおかしいと思う。

もちろん、中小企業でも自営業であっても振り回されない価値を身につけなければいけないのだとも思いますが。