デイヴ•ブルーベックのテイクファイブが栄養ドリンクのCMで流れていた時代に中学生でした。
誰の何という曲なのかまったく知らなかったのだけど、偶然に父の書斎から見つけ出したカセットテープを繰り返し聴いていました。
特徴的なライドシンバルとバスドラムの刻みから始まる5拍子のテイクファイブを聴くとあの頃の空気を少しだけ思い出します。
校庭の風の香りや、放課後の誰もいない教室でひとりロングトーンをしている音や、ガールフレンドとの下校時の会話などがよみがえってきます。
中学生は感情的で敏感な年頃。ちょっとしたトラブルが原因でクラスメイトとのいさかいが切っ掛けとなり随分と嫌なことも多く経験しました。
それが影響しているのかは分からないけど中学時からの付き合いの有るひとは1人もいません。高校進学で入寮した為に地元を離れたということもあるかもしれませんが。
数ヶ月ほどの淡い付き合いだったガールフレンド。前にSNSでこちらを見つけて一度だけメッセージを送ってきました。
少し前に学生時代からの友人を亡くし、最近昔のことをよく振り返ります。
昨日子供の学校に行くことがあり、校舎を歩いているとトランペットの音が聞こえてきて君を思い出しました。
今まで会うことがなかったのでこれからも会うことはないと思いますがお元気で。
みたいな内容だったと思います。少ない言葉ではありますが彼女の現在を想像することができました。
そして校舎とトランペットで私を思い出す事ができるひとがこの世界には居るのですね。
しかし何故なのかは分かりませんが、このメッセージに気がついたのは送信されてから2年も後でした。差出人と年数を見ておどろきましたが返事はしていません。ダイレクトに受け取っていたとしても同じことをしたでしょうきっと。
そんな記憶の音楽は、時間に結びついた深くて優しい個人的な情景があります。