他者を指導している身として言うのもなんですが、私のトランペットの実力は中の下だと思っています。
ですが指導者としては適性であると思います。なぜなら技術にしても定評な音質にしても年月を掛けて苦労して手に入れた経験の蓄積を持っているからです。
「なぜ、音がかすれるのか」
「なぜ、濁った音色になるのか」
「なぜ、タンギングがうまくできないのか」
などの疑問に対して理論的に説明ができるからです。
管楽器を演奏する場合、表面では見えない部分(唇、歯、舌、喉、内臓の動き、息など)が非常に重要です。
これらを正しい演奏にするために数値化することはまず無理で、ましては個々によって形状が異なる部位なので体系化することもできません。
ですので、標準的な音に近づけるためにそれぞれで探りながら演奏方法を見つけるしかないのです。見つけることができずにそのままで吹き続けている人や、「自分には向いていない」と方法を見つけれずに辞めていく人もきっと多いはずです。
私自身も10歳から吹き続けてきて過去に何人もの先生にレッスンしてもらいましたが、具体的に理論を仰る先生は1人もいませんでした。先生の音を真似ろと言われても、その音がどうやったら出るのかが分からないのです。
きっと今思うに、先生もそうですが上手な人々は才能があるために苦労せずに早い段階でそのプレイを身につけることができたから他者に説明することができないのです。(説明ができても抽象的)
その点、私は35年も試行錯誤してここまで辿り着いているので、「なぜそうなるのか」の疑問に対して、実際に音を聞き、吹き方を見て、ヒヤリングして「こう吹いてないかな?」と仮説を立てて問題点を具体的に検証していくことができます。
時にはすぐに問題点を見つけれることがありますが、問題を抽出するのに時間が掛かる場合もあります。それぞれの体内のことまで検証していくのは時間を要するからです。その時はこちらも生徒さんも根気がいります。
問題が見つかれば効果的に改善へと繋がっていきますので、大きく変化することができます。
検証して改善することが肝なのは経営と同じです。その話はまた今度にでも。