MORE Trumpet

音楽好きな自営業者でトランペッター。いつでもトランペットが吹けるように防音室をDIYしました。

喜んだのはほんのちょっとの間だけだった

国語辞典によると、たいへん喜ばしい出来事があり歓喜していたが、それもわずかの間のことで、まもなく困難や不都合が生じて苛むさまを「喜びも束の間」とある。まさにそれを味わってしまったというのが今回の話。

新規の法人から仕事の依頼が取れそうだ。数日前の電話での問い合わせ時から慎重にことを進めていき今回の依頼に繋がった。正式な契約の前に後日、説明を兼ねて担当者に会いにいくこととなった。コロナによって業績が低迷している中で、久々の大きな取引になりそうな心躍る案件だ。何としても成約まで結びつけたい。

 

事前に先方の情報を仕入れておこうとネットで社名を入れて検索してみると、物凄く怪しいサイトが現れてきた。
なんと言えばいいのか難しいのだが、宗教的?スピリチュアル?的な記載が所々に記してあってとにかく怪しく恐ろしい。

さらに掘り下げて調べてみて分かったのは、生命パワーを得るために高額な壺を買わせるような洗脳マルチ物販をしている団体だった。被害者家族の救済アドバイスを求めるような掲示板も多数目にした。間違いなく本物のヤバい奴らだ。

だが既に先方に出向き担当者と会う日時まで決めてしまっている。ここで「なんだが怪しい会社なので取引はできない」などと言おうものなら恨まれかねない。なんとか会って穏便に断るしかない、会いにいくまでのこの数日間が憂鬱でしかなかった。

そして当日を迎えた。電話では「できる」と肯定的なことばかりを言っていたのに、直接会うと「できません」「無理です」と否定的なことばかりを言っている私の急展開な態度にきっと驚いたことだろう。突っぱねるのではなく、あくまでも低姿勢で申し訳なさげに演じることに徹した。

本来ならば成約に向けて注力するところだけど、依頼を断るという今まで経験したことのないミッションを無事に終え、思い通りに事が運び安堵することができた。

そこまで遠くない場所にこんなに危険そうな徒党がいるとは思わなかった。どこにも属さない個人事業者なので、自分で身を守らなければならないことを改めて考えさせられた数日間だった。